今年の稲作反省
今年のイネ作りは自己採点で65点ぐらいとしました。
収量
収量は2枚の圃場のうち、大きめの方(A)は反収10俵をわずか欠けました。
小さめの田んぼ(B)は8俵を割るくらい。
どの農家も例年より収量は少なかったと言っています。
猛暑の影響
今年は強烈な暑さだったためか、籾は大きかったが籾を落として玄米にしてみると粒が小さかったらしいです。
暑さから種を守るため、籾というバリアを厚くしたと言うことなのでしょうか?
未熟米の量も、みんな多かったらしい・・・。
この辺りでは10俵は普通の収量なので少なめです。
水漏れ
田んぼBは水が漏れてしまっていて除草に難儀しました。
ようやく漏れの箇所を見つけることが出来たので、来年に期待したいところです。
中間施肥の遅れ
本格中間施肥が遅れたことで肥効が後半まで引きずってしまったのはまずかった。
下位節間を伸ばしてしまい、倒伏になったのだと思います。
水管理はホントに大事なのだと実感しました。
食味
食味値は昨年と全く同じ76点でした。
有機石灰を20kg/反増量したんだけど、変わりなしという事です。
もっと稲がカルシウムを吸収するにはやはり過リン酸石灰の方が良いのだろうか?
代かき2回の効果
代かきを間を置いて2回実施してみたのは良かった。
イネ科の雑草がヒエを含めて大きな効果があったのは大きな収穫材料だったと思います。
寒地の露地プール育苗
実験用の苗を2枚試したが、慌てて最後まで結果を確かめませんでした。
来年もう一度チャレンジします。
トラクター爪の配列は平耕・1つ盛り耕・2つ山盛り耕どれが良いのか?
トラクターの取り扱い説明書に爪の配列例が3種類説明されています。
それぞれ特長があって面白いです。
井原さんの書籍に夢中だった頃に稲わらのすき込みには二山盛りが良いと書いてあったので、爪を全部二山盛り耕にしていました。
確かに藁を埋め込むには良い。
畑を耕起して、出来た二山を利用して種まきした事もありました。
代かき前だって均平板を持ち上げて耕起しておくとクッキリ二山が出来る。
水加減も、山のどの辺りまで沈めばひたひた水になるか判断もそんなに難しくなかったです。
でも数年前から平耕に戻しています。
収穫の時はコンバインを委託して作業してもらうようになったのですが、近年特に収穫時期の天候が良くない。
コンバイン後は、田面が凸凹で20馬力程度のトラクターではどうしても均平にならない。(腕も悪い!)
そこで平耕にしてどこが高い、低いを判りやすくしています。
二山盛りでも均平板を下ろせば平らのはずだが、平耕にはかなわない気がします。
この辺りはどなたか教えていただけると有り難いです。
私の周辺で二山耕を使っている人は見た事がありません。
隣の田んぼを耕作している篤農家の方は、冬耕の時だけ1つ盛り耕を使っています。
田んぼ、台風21号通過後の様子
台風通過後の稲の様子です。
1枚はちょうど良いなびきですが、もう一枚は倒伏してしまいました。
まずは広い方の水田。
窒素成分の施肥量は9kg/反で同じです。
下の写真、小さい方の田んぼは水漏れがあって肥料の流し込みをしたときにしっかり満水とならず、生育ムラが出来てしまいました。
肥料の効き過ぎた場所は仕方がなかったのですが、そうでないところも傾いています。
ここは来年もう少し加減します。
今回の結果は思わしくありませんでしたが来年のための貴重なデータが得られたと思って観念します。
この2枚の田んぼには標高差が50メートル近くあります。
ある篤農家の方が、下の地区の方が反収は多く採れるよ、と言っていたのを思い出しました。
そんなに肥料もいらないということなんだろうか。
いろいろ原因を調べてみます。
への字稲作の創設者、井原豊さんの著書
井原豊さんの著書が今、どのように扱われているのかふと気になったのでネットで調べてみました。
「痛快イネつくり」は今でも書籍として販売されています。
でも、私の最初に出会ったへの字バイブル「痛快コシヒカリつくり」は中古本だけでした。
しかも高額でビックリ!
この本はもう増し刷りされる事はないんだろうかと寂しい気持ちになりました。
ところが農文協直営のネット販売ショップ「田舎の本屋さん」には電子書籍で入手出来る事がわかりました。
少しホッとした気分です。
是非とも復刊を願っています。
こんなPRしてるけど農文協からお金をもらっているわけではありません。
への字のバイブルが消えてしまうのではないかと心配しての事です。
とにかくへの字は楽しい!
茎は太いし、穂もでかい!
倒伏してもさほど食味は落ちない気がする。
イネつくりを1人で始めた頃、近くのベテラン稲作農家のおじさんが、倒伏の話題になったとき、
「転んだ稲は食うとまずいんだよなぁ。」と話してくれたときがあります。
その後、昨年も含めて私も2~3度倒した事があるけれどそんな思いはぜずに済んでいます。
V字稲作(慣行栽培)は穂肥としてNK化成を施す事が常識になっている。
窒素もカリも稲の中で未消化となると食味を落とす原因となる。
無事生育しても小柄な稲に消化できるかわからない。
その上、倒伏すると葉っぱに日光が当たらなくなる。
結果、未消化窒素はアミノ酸もどきとか呼ばれる成分として残るらしい。
への字で育てた米は、直接お客さんとお付き合いしてみると良く分かる。
メチャクチャ美味しいです!といってくれるお客さんのためにこれからも頑張ります!
畦草刈り・味肥・
8月5日(日)
ようやく1ヶ月ぶりに畦草刈りです。
これは刈る前の様子。
以前は2週間ほどでこれぐらいに茂っていたので草刈りは忙しかったです。
作物はさして生長しないのに草だけは良く伸びる!なんて愚痴を言いながら刈っておりました。
1ヶ月刈らずにいて、この程度は有り難い。
これは流し込み施肥のお陰だと思います。
中間施肥を以前は散粒機で散布していました。
稲だけでなく畦草にもたっぷり栄養を与え、育てていたようなんであります。(^^;
流し込み施肥という方法を授かって感謝です。
草刈りの後、有機石灰を散粒機で20kg/反散布しました。
稲の水中栽培で有名な薄井勝利さんの表現をまねて味肥と呼んでいます。
そういえば薄井勝利さんは現代農業(農文協)の連載で肥料学を書いておられた。
昨年10月号の「今さら聞けない土と肥料の話」は素晴らしかった。
⇓
月刊 現代農業2017年10月号 稲作名人が教える チッソ・リン酸・カリ・マグネシウム・ケイ酸肥料
への字稲作と水中栽培は中期重点型稲作という意味では親戚のような関係だと個人的に思っています。
かつては水中栽培にも憧れ、模索しましたが30cmの畦造りで挫折してしまいました。
今日はふと、井原豊さんの著書を改めて拾い読みしてみました。
への字、分かっていたつもりだったけど、まだまだ理解不足だった事が読んでいて痛感させられます。
とりあえずこれで田んぼに投入するものはこれで終わり。
あとは収穫を待つのみです。
への字の稲、初出穂。1本植えも順調!
今日は8月1日。
ふと見たら穂がパラパラと出始めていました。
この周辺はコシヒカリ出穂予定日が8月5日頃だから、少々早い。
もう一枚の小さな田んぼも同じくらい。
その周辺は標高が数十メートル低いので、多くの田んぼは50%ぐらいの出穂になっている田んぼが多い。
1本植えの茎数を数えてみました。
42本あります。
1本植えなんかダメだと決めつけている人がいるけれど、この事実を見て言ってほしいものです。
15枚目の葉っぱが伸びてきています。
葉色もさめてきて、周囲と差が目立たなくなってきました。
(まだ、少し黒いけど)
昨年はまだこの時期もっと黒くてやばい気がしましたが・・・。(^^;
今年はへの字を始めて一番への字曲線がうまく描けた気がします。
V字型しか知らない人から見れば、何やってるんだろうと思われそうですが。
手術後の経過も良いので、そろそろ草刈りしようかな。
溝切り・への字の農薬使用量 慣行栽培への疑問
やっと溝切りをする事が出来ました。
真ん中も入れる事が出来ました。
手術後の痛みがぶり返すのではと心配でしたが、この程度なら大丈夫でした。
やや、チクッとした痛みはありましたが。
終わってほっとしました。
1本植えは茎数確認したら24本ありました。
ようやく合格ラインになりました。
手前の目印棒の先が1本植えです。
この30aの田んぼは流し込み施肥もほぼ均一に広がり満足です。
もう一枚の10aの田んぼは漏水田で困りました。
現在ようやく水位が安定するようになりました。
原因はモグラによるものではないかと思います。
漏水でうまくいかないのが除草剤の効きが悪い事。
悪あがきして結果的に4回もの農薬を散布してしまいました。
コンバインを引き受けてくださる方にこの田んぼの米は別々に仕上げていただく事になりました。
漏水田は流し込み施肥にも影響がありました。
たっぷり水を保持できないのでムラになってしまったのです。
話は戻って、今年の農薬散布は次のような結果になりました。
圃場Bというのが問題のたんぼです。
JAで推奨する量よりも全体量が少し少ない程度の減農薬?となります。
問題が解決できそうなので、来期は全部同じ品質の米ができると思います。
苗箱施薬せずにイネミゾウムシにやられたりしないのかと聞かれた事があります。
多少葉っぱが傷みますが、その後中期からの急成長でまったく問題ありません。
前回記述したとおりイモチ防除もここ10年以上全くやらずに済んでいます。
今年のように酷暑といわれる年なら厚撒き密植でも要らないのではないでしょうか。
適度な量の穂肥施肥であればですが。
今、消費者サイドはできる限り安全で美味しいお米を出来るだけ安く、というのがニーズだと思います。
でも、こんな農薬を減らせる疎植への字稲作という手段があるのに、未だに父が生きていた頃と農薬散布量は変わらない。
ここは稲作農業の不思議なところだと思います。
消費者の方、生産者お方、共にこのことについて疑問を感じていただきたいと思います。